【薬剤師が解説】胃腸の不調と漢方—タイプ別の改善法

胃もたれ・食欲不振・下痢…東洋医学で整える健康習慣

こんにちは、Drip & Dose Journalへようこそ!
「食欲がなく、胃が重く感じる…」
「冷たいものを食べるとすぐに下痢をする」
「ストレスが続くと胃の調子が悪くなる」
胃腸の不調は、多くの人が悩む症状のひとつです。食生活や体質、精神的なストレスが密接に関係しており、慢性化すると日常生活の質にも影響を与えます。東洋医学では、胃腸の不調を「脾気虚」「脾陽虚」「不摂生」の3つに分類し、それぞれに適した漢方処方や養生法を提案しています。
本記事では、胃腸の不調の種類ごとの原因と漢方的なアプローチで根本改善を目指します


胃腸の不調の症状と生活背景

胃腸の不調は、多くの人が経験する症状であり、食生活・ストレス・体質などが影響を与えます。特に、食欲不振・胃痛・下痢は日常生活に支障をきたしやすく、慢性化すると健康全般に悪影響を及ぼすことがあります。

胃腸の不調の主な症状

胃腸の不調にはさまざまな症状があり、原因によって異なる特徴が現れます。

胃痛(みぞおちの痛み・胸焼け)胃炎や逆流性食道炎の可能性がある
食欲不振(食べてもすぐに胃が重くなる)慢性胃炎や機能性ディスペプシアが関係することも
下痢(急性・慢性)腸の働きが乱れることで発生し、感染症やストレスが原因となることもある

胃腸の不調は、消化器系の疾患だけでなく、ストレスや生活習慣の乱れが関係していることが多いため、適切なケアが必要です。

胃腸の不調を引き起こす生活背景

症状の発症には、生活習慣や環境要因が大きく関係しています。

1. 食生活の乱れ

暴飲暴食や脂っこい食事が続くと胃もたれが悪化(約35%が経験)
冷たい飲食物の過剰摂取で下痢を引き起こす人が約25%
食事の時間が不規則な人は胃痛を感じる割合が約30%

食生活の乱れは、胃腸の負担を増やし、消化機能を低下させるため、バランスの取れた食事が重要です。

2. ストレスと自律神経の乱れ

ストレスが強い人の約40%が食欲不振を経験
精神的な緊張が続くと胃痛が慢性化する割合が約30%
ストレスが原因で腸の働きが乱れ、下痢を引き起こす人が約25%

ストレスが原因の胃腸の不調は、リラックス時間を増やすことで改善しやすくなります

3. 加齢による影響

50歳以上の約40%が慢性的な胃腸の不調を抱えている
加齢とともに胃の消化機能が低下し、食欲不振が増加する傾向がある
腸内環境の変化により、下痢や便秘が増える割合が約35%

加齢とともに胃腸の働きが弱まるため、適切な食事管理と生活習慣の見直しが必要です。

胃腸の不調の予防と生活習慣の改善

胃腸の不調を改善するためには、生活習慣を見直し、胃腸への負担を軽減することが重要です。

適度な運動(ストレッチ・ウォーキング)を取り入れる
長時間のストレスを避け、リラックスする時間を確保する
冷たい飲食物を控え、温かい食事を摂る
規則正しい生活を意識し、十分な睡眠をとる
消化を助ける食材(ハトムギ、れんこん、生姜)を積極的に摂る

また、東洋医学では胃腸のタイプ別に漢方処方を活用することで、根本的な改善が可能になります


脾気虚による胃痛・食欲不振—もともと胃腸が弱いタイプ

特徴

食欲がなく、常に胃が重い感じがする
全身の倦怠感が強く、疲れやすい
消化吸収が悪く、栄養不足になりやすい

症状の特徴

脾気虚の人は、もともと胃腸の働きが弱く、エネルギー不足によって消化吸収機能が低下しやすいことが特徴です。全身の気虚につながるため、体全体の力を補うことが必要です。

漢方処方

四君子湯(しくんしとう) → 胃腸の働きを改善し、気を補う
六君子湯(りっくんしとう) → 胃腸を整えながら、消化機能を活性化する
※四君子湯に「半夏(はんげ)」と「陳皮(ちんぴ)」を加えたものが六君子湯です。

このタイプの胃腸の不調は、「脾を補いながら、消化吸収を助けることがポイント」になります。


脾陽虚による下痢—冷えが原因の胃腸トラブル

特徴

寒い環境で胃腸の調子が悪化しやすい
食後すぐにお腹を下すことがある
冷え症で、特に足元が冷えやすい

症状の特徴

脾陽虚の人は、胃腸を温める力が弱く、冷えによって消化機能が乱れやすいことが特徴です。冷たい飲食物の摂取が影響しやすいため、胃腸を温めることが重要になります。

漢方処方

人参湯(にんじんとう) → 胃腸を温め、消化機能を回復

このタイプの胃腸の不調は、「冷えを改善しながら胃腸の動きを整えることがポイント」になります。


不摂生による胃腸の不調—食べ過ぎ・飲み過ぎ・ストレスが原因

特徴

食べ過ぎ・飲み過ぎで胃がもたれる
ストレスが溜まると胃痛がひどくなる
胃が張った感じが続く

症状の特徴

暴飲暴食やストレスによって胃腸が疲弊し、消化機能が乱れることで胃もたれや不快感が続くことが特徴です。胃をスッキリさせることが重要です。

漢方処方

半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう) → 胃の働きを調整し、もたれを改善

このタイプの胃腸の不調は、「胃をスッキリと整えながら、ストレスの影響を減らすことがポイント」になります。


養生・セルフケアのポイント

1. 過ごし方

食事はゆっくり食べ、噛む回数を増やす
冷たいものを控え、温かい飲み物を摂る(特に脾陽虚タイプ)
ストレスを減らし、リラックスする時間を作る

2. 食べ物

胃腸を強くする食材(山芋、ショウガ、黒糖)は脾気虚タイプ向け
消化を助ける食材(ハトムギ、れんこん、生姜)は脾陽虚タイプ向け
胃をスッキリさせる食材(大根、ミント、シソ)は不摂生タイプ向け

3. ツボ

食欲のないときに、胃を元気にしてくれるツボです。

中脘(ちゅうかん)
→ みぞおちとへそを結ぶ線の中間あたり。


次回テーマ:便秘の原因と漢方処方

次回のDrip & Dose Journalでは、「便秘—東洋医学が示すタイプ別の改善法」 をテーマにお届けします。

「慢性的な便秘はなぜ起こる?」その原因と体質の関係
タイプ別の漢方処方
セルフケアと養生法—腸内環境を整える方法

あなたの便秘はどのタイプ?東洋医学の視点で根本からの改善を目指しましょう!次回もお楽しみに。


【引用元】

  • 胃腸の不調の初期症状とは(練馬光が丘内科内視鏡クリニック)
  • 胃腸の調子が悪い原因とその対策(金時堂 須賀薬局)
  • 食欲不振の症状と原因(medicommi)

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