【薬剤師が解説】咳の原因と漢方—タイプ別の改善法

むせる咳・力のない咳・すっきりしない咳…東洋医学で根本改善!

こんにちは、Drip & Dose Journalへようこそ!

「咳が続いて、のどがイガイガする…」
「風邪の後、力のない咳が長引いている」
「咳払いをしてもすっきりせず、気になる」

咳は、肺の働きの乱れから発生しやすく、乾燥・風邪・ストレスなどが影響します。東洋医学では、咳を「肺陰虚」「気血両虚」「気滞」の3つのタイプに分類し、それぞれに適した漢方処方や養生法を提案しています。

本記事では、咳の種類ごとの原因と漢方的アプローチで根本改善を目指します


咳は、風邪・乾燥・ストレス・感染症などが影響し、多くの人が経験する症状のひとつです。特に、長引く咳は呼吸器系の疾患と関連することがあり、適切なケアが必要になります。

咳の主な症状

咳にはさまざまな種類があり、原因によって異なる特徴が現れます。

長引く咳(3週間以上続く咳)約30%の人が「3週間以上の咳を経験」
風邪の後に続く咳約63.1%が「風邪症状が長引いた」と回答
乾燥による咳秋冬の乾燥した季節に咳が出やすい人は約40%
ストレスや疲労による咳約25%が「疲れたときに咳払いをしたくなる」と実感
感染症による咳(百日咳など)2024年以降、日本国内で百日咳の報告数が増加傾向にある

咳は、日常の生活習慣の積み重ねが大きく影響するため、適切なケアと予防が重要になります。

咳を引き起こす生活背景

症状の発症には、生活習慣や環境要因が大きく関係しており、以下の要因が咳を悪化させる原因となります。

1. 乾燥と季節の変化

秋冬の乾燥した空気が咳を引き起こす
加湿器を使用しないと、のどの乾燥が悪化しやすい
暖房の使用による室内の乾燥が咳を促進

乾燥による咳は、のどの粘膜の水分保持力が低下することで発生しやすく、特に冬場に悪化しやすいため、保湿ケアが重要です。

2. 風邪や感染症

風邪のひき始めに咳が出る人は約40%
百日咳の報告数が2024年以降増加傾向にある
ウイルスや細菌感染による咳が悪化すると長引くことがある

風邪や感染症による咳は、適切な休息と免疫力の強化が重要です。

3. ストレスと睡眠不足

ストレスが強い人の約25%が咳を頻繁に経験
睡眠不足の人は咳の発症率が約35%上昇
ストレスによる自律神経の乱れが咳を引き起こす

ストレスが原因の咳は、リラックス時間を増やすことで改善しやすくなります

咳の予防と生活習慣の改善

咳を改善するためには、生活習慣を見直し、のどの健康を維持することが重要です。

加湿器を活用し、室内の湿度を適切に保つ
うがいを習慣にし、のどを清潔に保つ
風邪予防のために十分な休息をとる
のどを潤す食材(梨、れんこん、はちみつ)を積極的に摂る
炎症を鎮める食材(緑茶、大根、生姜)を取り入れる

また、東洋医学では咳のタイプ別に漢方処方を活用することで、根本的な改善が可能になります


肺陰虚による咳—むせるような乾いた咳

特徴

痰が少なく、むせるような咳が続く
口やのどが乾燥しやすい
秋冬の乾燥した季節に悪化しやすい

症状の特徴

肺陰虚の人は、のどの潤いを保つ力が低下し、乾いた咳が出やすいことが特徴です。特に、暖房の効いた部屋や乾燥した環境で悪化しやすい傾向があります。痰を伴わず、夜になると症状が出るような咳はこのタイプです。口やのどが渇き、舌が紅くなったり、声がしわがれたりします。

漢方処方

麦門冬湯(ばくもんどうとう) → 肺陰を補い、のどの乾燥と咳を改善
清肺湯(せいはいとう) → 気を補いながら咳の改善を促す

このタイプの咳は、「潤いを補いながら、のどの健康を回復することがポイント」になります。


気血両虚による咳—力のない咳が続く

特徴

咳の勢いが弱く、だるさを感じる
咳以外にも疲労感や食欲不振がある
風邪の後、長引く咳になりやすい

症状の特徴

気血両虚の人は、風邪や体調不良の影響で肺の働きが弱まり、咳が長引くことが特徴です。特に、全身の気力が低下し、だるさとともに咳が続く傾向があります。もともと虚弱体質だったり、病後などで身体が弱っていたり、高齢者などに多い、弱々しい咳です。

漢方処方

人参栄養湯(にんじんえいようとう) → 気を補い、肺の働きを回復させる

このタイプの咳は、「体力を回復しながら、咳の症状を改善することがポイント」になります。


気滞による咳—すっきりせず咳払いをしたくなる

特徴

のどの違和感が続き、咳払いを頻繁にしたくなる
ストレスが溜まると症状が悪化する
胸のあたりが詰まる感じがすることがある

症状の特徴

気滞による咳は、肺の気の流れが悪くなり、スムーズに息ができなくなることが特徴です。特に緊張やストレスが影響しやすく、咳払いを頻繁にしたくなる傾向があります。神経質で、普段から呼吸が浅い人に多くみられ、すぐに、咳ばらいをしたり、緊張で咳込んだりします。

漢方処方

神秘湯(しんぴとう) → 肺の気の流れを改善し、すっきりとした呼吸を促す
※痰がからむ時は半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)もよいです。

このタイプの咳は、「気の流れをスムーズにして、咳の違和感を改善することがポイント」になります。


養生・セルフケアのポイント

1. 過ごし方

加湿器を活用し、室内の湿度を適切に保つ(特に肺陰虚タイプ)
深呼吸をして、肺の気の流れを整える(特に気滞タイプ)
十分な休息をとり、体力回復を促す(特に気血両虚タイプ)

2. 食べ物

のどを潤す食材(梨、れんこん、はちみつ)は肺陰虚タイプ向け
体力を回復する食材(山芋、黒豆、鶏肉)は気血両虚タイプ向け
気の流れを整える食材(シソ、ミント、生姜)は気滞タイプ向け

3. ツボ

痰がからみのどが詰まるようなときには天突(てんとつ)を。
雲門(うんもん)も肺に関わる症状に効果のあるツボです。

天突 → 咳を鎮め、肺の働きを回復させる
雲門 → 気の流れを整え、スムーズな呼吸を促す


次回テーマ:鼻水・鼻づまりの原因と漢方処方

次回のDrip & Dose Journalでは、「鼻水・鼻づまり—東洋医学が示すタイプ別の改善法」 をテーマにお届けします。

「鼻が詰まる・鼻水が止まらない…その原因とは?」
タイプ別の漢方処方
セルフケアと養生法—鼻の健康を整える方法

あなたの咳はどのタイプ?東洋医学の視点で根本からの改善を目指しましょう!次回もお楽しみに。


【引用元】

  • 百日咳の発生状況について(国立健康危機管理研究機構)
  • 「長引く咳」に関する実態調査(QLife)

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