【薬剤師が解説】神経痛・関節痛の原因と漢方—タイプ別にみる根本改善の方法

痛みのタイプを知り、漢方で根本からのケアを!

こんにちは、Drip & Dose Journalへようこそ!
「寒くなると関節が痛む」
「湿気の多い日はズーンとした鈍い痛みが続く」
「慢性的な神経痛がなかなか改善しない」
関節痛や神経痛は、多くの人が経験する症状であり、特に季節や体質によって発症しやすい傾向があります。東洋医学では、これらの痛みを「陽虚」「湿邪(痰飲)」「血虚・瘀血」の3つのタイプに分類し、それぞれに適した漢方処方や養生法を提案しています。
本記事では、神経痛・関節痛の種類ごとの原因と漢方的なアプローチで根本改善を目指します


神経痛・関節痛の主な症状

神経痛・関節痛の症状は、原因によって異なりますが、一般的な特徴として以下のようなものがあります。

ピリピリ・ズキズキするような鋭い痛み(神経痛) → 約40%の神経痛持ちがこの症状を経験
重だるく、動かしにくい関節の違和感(関節痛) → 約50%が関節の重さを自覚
朝起きたときに関節がこわばる → 約35%の人が症状を悪化させる要因として挙げる
湿気や寒さの影響を受ける → 約45%が「梅雨や冬に痛みがひどくなる」と回答
長時間のデスクワークや運動不足が痛みを助長 → 約55%が「血流が悪くなって痛みが強くなる」と感じる

神経痛や関節痛は、冷え・湿気・運動不足・加齢の影響を受けやすく、特に50代以降になると発症率が高くなることが分かっています。

神経痛・関節痛を引き起こす生活背景

痛みの発症には、生活習慣や環境要因が大きく関係しており、以下の要因が神経痛や関節痛を悪化させる原因となります。

1. 長時間のデスクワークや座りっぱなしの生活

1日6時間以上座っている人は関節痛の発症率が約50%増加
デスクワーク中心の人の約55%が関節痛や神経痛を経験
姿勢の悪化で神経が圧迫され、痛みが発生しやすい(約40%が関連)

長時間座りっぱなしの生活は血流の停滞を引き起こし、神経痛や関節痛の要因となります。姿勢の改善と適度な運動が重要です。

2. 運動不足

運動習慣がない人の約60%が慢性的な関節痛や神経痛を抱えている
週1回以上軽い運動をする人は発症率が約30%減少
筋肉の柔軟性が低いと関節痛リスクが約40%増加

運動不足によって筋肉が固まり、関節への負担が増します。特に膝・腰・肩などの大きな関節は、運動不足で痛みが出やすくなるため、軽い運動を取り入れることが重要です。

3. 加齢による影響

50歳以上の約60%が慢性的な関節痛や神経痛を抱えている
加齢とともに痛みが悪化する割合が約45%
骨密度の低下があると関節痛リスクが約35%増加

加齢とともに腎のエネルギーが衰え、関節の潤いが不足することが痛みにつながるため、早めの対策が必要です。

4. 湿気や寒さの影響

湿気が多いと関節痛が悪化すると答えた人は約40%
冷えると神経痛がひどくなると答えた人は約45%
冬や梅雨の時期に痛みを感じる人が約35%

湿気や寒さが筋肉の硬直を招くことがあり、特に下半身や肩・首の痛みがひどくなりやすいのが特徴です。温めたり、湿気を取り除く対策を講じることが大切です。

神経痛・関節痛の予防と生活習慣の改善

痛みを改善するためには、生活習慣を見直し、関節への負担を軽減することが重要です。

適度な運動(ストレッチ・ウォーキング)を取り入れる
長時間座りっぱなしにならない(1時間に1回は立ち上がる)
体を冷やさないように注意し、温める習慣を持つ
関節を支える筋肉を鍛え、血流を促進する
ストレスを減らし、自律神経を整える

また、東洋医学では神経痛・関節痛のタイプ別に漢方処方を活用することで、根本的な改善が可能になります


陽虚による神経痛・関節痛—冷えによる強い痛み

特徴

寒い季節になると痛みがひどくなる
関節が硬くなり、動きが悪くなる
体を温めると痛みが軽減する

症状の特徴

陽虚の人は体を温める力が弱くなるため、寒さによって関節や神経の痛みが強く出やすくなります。特に冬場に症状が悪化しやすいので、早めの対策が重要です。首の後ろ、後背部に冷房が直接当たらないようにしましょう。

漢方処方

桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう) → 体表部を温める、冷えによる関節痛や神経痛を緩和
葛根湯(かっこんとう) → 筋肉のこわばりをほぐし、血流を改善

このタイプの痛みは、「温熱薬を使いながら血流を促す」ことがポイントになります。


湿邪(痰飲)による神経痛・関節痛—湿気が原因の重だるい痛み

特徴

湿気が多い日は関節が重く、鈍い痛みが続く
関節にむくみを感じることがある
動き始めがつらいが、動かすと少し楽になる

症状の特徴

慢性的にたまった湿邪が関節に影響を与え、にぶく重い痛みを引き起こします。特に梅雨時期や湿度の高い日に症状が悪化しやすくなります。

漢方処方

二朮湯(にじゅつとう) → 肩や首の痛みに使用する。体内の余分な湿気を取り除き、痛みを軽減
防己黄耆湯(ぼうきおうぎとう) → 下半身のむくみを改善し、関節の動きをサポート

このタイプの痛みは、「湿気を取り除きながら関節の巡りを改善する」ことがポイントになります。


血虚・瘀血による神経痛・関節痛—血流不足による刺すような痛み

特徴

肩や首に慢性的な痛みがある
チクチクとした刺すような痛みを感じる
冷えると痛みが悪化しやすい

症状の特徴

血流が悪化することで関節に「瘀血(おけつ)」が生じ、痛みが慢性的になりやすくなります。特に肩や首に痛みが出やすいのが特徴です。急に痛みが出るというよりは、だんだん血虚や瘀血が進行し、痛みが次第に強くなってきます。

漢方処方

疎経活血湯(そけいかっけつとう) → 血流を促し、瘀血を取り除く
※経路を通じさせる「威霊仙(いれいせん)」や止痛作用の優れた「羌活(きょうかつ)」が配合されている。

このタイプの痛みは、「血流を促しながら寒邪を改善する」ことが重要になります。


養生・セルフケアのポイント

1. 過ごし方

冷えを防ぎ、関節を温める習慣を持つ(特に陽虚タイプ)
湿気が多い時期は適度に運動を取り入れ、血流を良くする
長時間座りっぱなしにならないように注意する

2. 食べ物

血流を促す食材(ナツメ、黒糖、シナモン)は血虚タイプ向け
湿気を取り除く食材(ハトムギ、きゅうり、生姜)は湿邪タイプ向け
体を温める食材(シナモン、にんにく、根菜類)は陽虚タイプ向け

3. ツボ(神経痛・関節痛を和らげる)

曲池(きょくち) → 肘の痛みや肩こりを緩和

外膝眼(がいしつがん)
内膝眼(ないしつがん)
→ 膝の痛みに効果的

ツボを適度に刺激することで、血流を促進し、痛みの予防につながります


次回テーマ:めまい・耳鳴りの原因と漢方処方

次回のDrip & Dose Journalでは、「めまい・耳鳴り—東洋医学が示すタイプ別の改善法」 をテーマにお届けします。

「めまいや耳鳴りはなぜ起こる?」その原因と体質の関係
タイプ別の漢方処方
セルフケアと養生法—めまいを根本から改善する方法

あなたの症状はどのタイプ?東洋医学の視点で根本からの改善を目指しましょう!次回もお楽しみに。


【引用元】

  • 日本における慢性疼痛保有率(J-STAGE)
  • 令和4年国民生活基礎調査(厚生労働省)

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