【薬剤師が解説】かゆみの原因と漢方—タイプ別の改善法

乾燥・赤み・炎症…かゆみを東洋医学で根本から整える!

こんにちは、Drip & Dose Journalへようこそ!

「冬になると肌が乾燥してかゆみがひどくなる…」
「赤く腫れて熱を持つ湿疹が治りにくい」
「湿気の多い時期になるとかゆみが強くなる」

かゆみは、乾燥・炎症・体質などが影響する症状のひとつであり、東洋医学では「血虚」「風熱」「風熱と湿邪」の3つのタイプに分類されます。それぞれの原因に合わせた漢方処方や養生法を取り入れることで、根本からの改善が可能になります。

本記事では、かゆみの種類ごとの原因と漢方的アプローチで解決策を探ります


かゆみは、乾燥・アレルギー・ストレス・皮膚疾患などが原因で発生し、日常生活に大きな影響を与える症状のひとつです。特に、季節の変化や生活習慣が関係しやすく、慢性化すると睡眠の質や集中力にも悪影響を及ぼします。

かゆみの主な症状

かゆみにはさまざまな種類があり、原因によって異なる特徴が現れます。

皮疹を伴うかゆみ(湿疹・アトピー性皮膚炎など)
成人の約18.0%、小児の約17.2%が皮疹を伴うかゆみを経験
皮疹を伴わないかゆみ(乾燥・ストレスなど)
成人の約3.4%、小児の約2.2%が皮疹なしのかゆみを訴える
かゆみによる日常生活への影響
成人の約27%が「イライラする・落ち着かなくなる」、約18%が「仕事や勉強の効率が落ちる」と回答
小児のかゆみと睡眠への影響
かゆみのある小児の保護者の約27%が「眠れなさそう・寝付きにくそう」と回答

かゆみは、皮膚の状態だけでなく、精神的なストレスや生活習慣の影響を受けやすいため、適切なケアと予防が重要になります。

かゆみを引き起こす生活背景

症状の発症には、生活習慣や環境要因が大きく関係しており、以下の要因がかゆみを悪化させる原因となります。

1. 乾燥と季節の変化

冬季にかゆみが悪化する人は約30%
乾燥した環境で肌のバリア機能が低下しやすい
加齢とともに皮脂分泌が減少し、かゆみが増加する傾向

乾燥によるかゆみは、肌の水分保持力が低下することで発生しやすく、特に冬場に悪化しやすいため、保湿ケアが重要です。

2. ストレスと自律神経の乱れ

ストレスが強い人の約40%がかゆみを頻繁に経験
精神的な緊張が続くと皮膚の炎症が悪化する割合が約30%
睡眠不足がかゆみの発症率を上昇させる

ストレスが原因のかゆみは、リラックス時間を増やすことで改善しやすくなります

3. 食生活の影響

脂っこい食事や加工食品の過剰摂取が皮膚炎を悪化させる
腸内環境の乱れがアレルギー性のかゆみを引き起こす
糖質・脂肪の過剰摂取が皮脂分泌を活発化させる

食生活の乱れは、肌のバリア機能を低下させ、炎症を引き起こしやすくするため、バランスの取れた食事が重要です。

かゆみの予防と生活習慣の改善

かゆみを改善するためには、生活習慣を見直し、肌のバリア機能を整えることが重要です。

適度な運動(血流を促進し、肌のターンオーバーを整える)
長時間のストレスを避け、リラックスする時間を確保する
水分を意識的に摂取する(1日1.5~2Lが目安)
食物繊維を豊富に含む食材(野菜・海藻・豆類)を積極的に摂る
腸内環境を整える発酵食品(ヨーグルト・納豆・味噌)を取り入れる

また、東洋医学ではかゆみのタイプ別に漢方処方を活用することで、根本的な改善が可能になります


血虚によるかゆみ—冬季の乾燥が原因

特徴

肌がカサカサして乾燥がひどい
冬になると悪化し、粉を吹いたような状態になる
かゆみが強く、掻きむしってしまう

症状の特徴

血虚の人は、肌の潤いを保つ力が弱く、乾燥によってかゆみを感じやすいことが特徴です。特に冬場は、乾燥した空気によって肌のバリア機能が低下し、刺激を受けやすくなります。慢性的な皮膚のトラブルなどからくる血の不足により、皮膚に潤いがなくなり乾燥肌になると、そこに風が生じ、かゆみが起こります。老人性乾皮症、乾燥型のアトピー性皮膚炎などがこのタイプのかゆみです。

漢方処方

当帰飲子(とうきいんし) → 血を補いながら、肌の潤いを改善し、かゆみを抑える

このタイプのかゆみは、「血を補いながら、肌の乾燥を防ぐことがポイント」になります。


風熱によるかゆみ—赤く腫れて熱を持つ炎症

特徴

患部が赤く腫れ、炎症が強い
肌が火照るような感覚がある
掻くとさらに熱を持ち、悪化しやすい

症状の特徴

風熱によるかゆみは、炎症が強く、熱を持つことが特徴です。特に、ストレスや食生活の乱れが影響しやすく、湿疹やニキビができやすい傾向があります

漢方処方

消風散(しょうふうさん) → 風熱を取り除き、炎症を鎮める
※かゆみを伴う皮膚の症状に広く利用される漢方です。
+α:寒さの刺激で起こる、あまり熱の強くない寒冷じんましんには十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)を用います。

このタイプのかゆみは、「熱を冷ましながら炎症を抑える」ことがポイントになります。


風熱と湿邪が絡むかゆみ—湿気によるジュクジュクした炎症

特徴

湿疹がジュクジュクして治りにくい
皮膚がベタつきやすく、かゆみが強い
湿気の多い時期に悪化しやすい

症状の特徴

風熱と湿邪が絡むかゆみは、皮脂の分泌が過剰になり、湿気によって炎症が強くなることが特徴です。特に、梅雨時期や湿度が高い環境では症状が悪化しやすい傾向があります。

漢方処方

荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう) → 風熱を鎮め、湿邪を取り除く
※体質改善を目的として長期にも使われます。
清上防風湯(せいじょうぼうふうとう) → 炎症を抑え、かゆみを改善
※炎症の強い症状に使われます。

このタイプのかゆみは、「湿気を取りながら炎症を鎮める」ことがポイントになります。


養生・セルフケアのポイント

1. 過ごし方

加湿器を活用し、肌の潤いを保つ(特に血虚タイプ)
ストレスを減らし、リラックスする時間を確保(特に風熱タイプ)
湿気対策を行い、肌を清潔に保つ(特に風熱+湿邪タイプ)

2. 食べ物

血を補う食材(ナツメ、黒豆、山芋)は血虚タイプ向け
熱を冷ます食材(ミント、トマト、緑茶)は風熱タイプ向け
湿気を取り除く食材(ハトムギ、きゅうり、陳皮)は風熱+湿邪タイプ向け


次回テーマ:目の疲れの原因と漢方処方

次回のDrip & Dose Journalでは、「目の疲れ—東洋医学が示すタイプ別の改善法」 をテーマにお届けします。

「目の乾燥・かすみ・疲れやすさ…その原因とは?」
タイプ別の漢方処方
セルフケアと養生法—目の健康を整える方法

あなたのかゆみはどのタイプ?東洋医学の視点で根本からの改善を目指しましょう!次回もお楽しみに。


【引用元】

  • 皮膚のかゆみが日常生活と受診行動に与える影響(J-STAGE)
  • 皮膚のかゆみが日常生活と受診行動に与える影響(CiNii 論文)

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