【薬剤師が解説】目の疲れの原因と漢方—タイプ別の改善法

スマホ・PC・読書…目の酷使による疲れを漢方で根本改善!

こんにちは、Drip & Dose Journalへようこそ!

「長時間スマホを使っていると目がショボショボする」
「かすみ目が続いて、遠くのものが見づらい」
「目が充血して疲れがひどくなることがある」

目の疲れは、多くの人が悩む症状のひとつです。長時間の目の酷使・血行不良・加齢・ストレスなどが原因となり、放置すると視力低下や慢性的な疲労につながることもあります。東洋医学では、目の疲れを「血虚」「腎陰虚」「熱を持つ目の充血」の3つのタイプに分類し、それぞれに適した漢方処方や養生法を提案しています。

本記事では、目の疲れの種類ごとの原因と漢方的アプローチで根本改善を目指します


目の疲れは、スマホ・PCの長時間使用、ストレス、加齢などが影響し、多くの人が悩む症状のひとつです。特に、デジタルデバイスの普及により、目の酷使が増え、慢性的な疲労を感じる人が増えています。

目の疲れの主な症状

目の疲れにはさまざまな種類があり、原因によって異なる特徴が現れます。

目の疲労感直近1か月間に「目が疲れている」と感じた人は69%
スマホ・PCの長時間使用が原因「パソコンの長時間利用」が62%、「スマートフォンの長時間利用」が54%
加齢による視力低下50代では目の疲労感が76%と高い
目の健康維持の意識「普段から目の健康維持に努めている」と答えた人は2割と低い

目の疲れは、日常の生活習慣の積み重ねが大きく影響するため、適切なケアと予防が重要になります。

目の疲れを引き起こす生活背景

症状の発症には、生活習慣や環境要因が大きく関係しており、以下の要因が目の疲れを悪化させる原因となります。

1. スマホ・PCの長時間使用

スマホの利用時間が長いほど目の疲れを感じやすい
20〜30代は1日4時間以上スマホを使用する人が半数近く
「インターネット検索やニュース閲覧」が最も利用時間の長い機能(41%)

デジタルデバイスの長時間使用は、目のピント調節機能を酷使し、疲れ目の原因となるため、適度な休憩が必要です。

2. ストレスと睡眠不足

ストレスが強い人の約40%が目の疲れを頻繁に経験
睡眠不足の人は目の疲れの発症率が約45%上昇
「目の健康維持に努めている」と答えた人は2割と低い

ストレスが原因の目の疲れは、リラックス時間を増やすことで改善しやすくなります

3. 加齢による影響

50代では目の疲労感が76%と高い
40歳以上の約35%が「目のピントが合いづらくなる」と認識
緑内障の有病率は6.4%で、診断時に自覚症状がなかった人が6割弱

加齢とともに目の機能が低下するため、適切なケアと定期的な検診が必要です。

目の疲れの予防と生活習慣の改善

目の疲れを改善するためには、生活習慣を見直し、目の健康を維持することが重要です。

1時間ごとに画面から目を離し、遠くを眺める
深呼吸をして、目の緊張をほぐす
質の良い睡眠を心がける(特に腎陰虚タイプ)
目の栄養を補う食材(クコの実、ほうれん草、黒豆)を積極的に摂る
目を潤す食材(ブルーベリー、トマト、緑茶)を取り入れる

また、東洋医学では目の疲れのタイプ別に漢方処方を活用することで、根本的な改善が可能になります


血虚による目の疲れ—目の酷使が血の不足につながる

特徴

目がショボショボする
視力が低下しやすい
疲労感が強く、肩こりを伴うこともある

症状の特徴

血虚の人は、目の酷使が原因で血液の流れが不足し、目の栄養が足りなくなることが特徴です。特に長時間の読書や画面の見過ぎは、目の血流を悪化させ、疲労感を増大させることにつながります。

漢方処方

四物湯(しもつとう) → 血を補いながら目の疲れを改善し、視力を回復

このタイプの目の疲れは、「血を補いながら、目の働きを回復する」ことがポイントになります。


腎陰虚による目の疲れ—日頃からかすみ目が続く

特徴

遠くのものがぼやける、かすむ
目の乾燥が気になる
加齢による視力低下が気になる

症状の特徴

腎陰虚の人は、目の潤いを保つ力が低下し、かすみ目が続くことが特徴です。特に、加齢とともに腎のエネルギーが衰えることで、視力が低下しやすくなります

漢方処方

杞菊地黄丸(こぎくじおうがん) → 腎を補いながら目の潤いを回復し、疲労を軽減
※腎の働きを高める六味丸(ろくみがん)に枸杞子(くこし)と菊花(きくか)を加えたもの。枸杞子が肝腎の血を補い、菊花が肝の熱を除いて、目をすっきりとさせます。
※ドライアイには、涙の分泌を良くし、潤す効果の高い麦門冬湯もよく使われます。

このタイプの目の疲れは、「腎を強化しながら目の乾燥を防ぐことがポイント」になります。


熱を持って充血している目の疲れ—目が赤くなる・炎症が起こる

特徴

目が充血しやすい
目が火照るような感覚がある
イライラすると症状がひどくなる

症状の特徴

目の疲れがひどくなると、熱がこもり、充血を伴うことがあるのが特徴です。特に、ストレスや睡眠不足によって悪化しやすく、目が痛むこともあります

漢方処方

竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう) → 血を補いながら目の充血を抑え、炎症を鎮める
※清熱薬で目と肝に効果のある竜胆草(りゅうたんそう)を含みます。

このタイプの目の疲れは、「熱を冷ましながら炎症を抑えることがポイント」になります。


養生・セルフケアのポイント

1. 過ごし方

1時間ごとに画面から目を離し、遠くを眺める
深呼吸をして、目の緊張をほぐす
質の良い睡眠を心がける(特に腎陰虚タイプ)

2. 食べ物

目の栄養を補う食材(クコの実、ほうれん草、黒豆)は血虚タイプ向け
目を潤す食材(ブルーベリー、トマト、緑茶)は腎陰虚タイプ向け
炎症を鎮める食材(ハトムギ、きゅうり、ミント)は充血タイプ向け

3. ツボ

目の周りにあるツボを押して血行を良くし、目をすっきりさせましょう。

清明(せいめい) → 目の疲れを癒し、視力の改善を促す


太陽(たいよう) → 目の充血や頭痛を改善する


次回テーマ:のどの痛み・のどの渇きの原因と漢方処方

次回のDrip & Dose Journalでは、「のどの不調—東洋医学が示すタイプ別の改善法」 をテーマにお届けします。

「乾燥・炎症・刺激…のどの痛みの原因とは?」
タイプ別の漢方処方
セルフケアと養生法—のどの健康を整える方法

あなたの目の疲れはどのタイプ?東洋医学の視点で根本からの改善を目指しましょう!次回もお楽しみに。


【引用元】

  • 目の健康に関する意識調査
  • 目に関する調査(2023年)
  • 現代人の「疲れ目」事情

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