【薬剤師が解説】かぜ—東洋医学が示す体質別の治し方

風邪の原因とタイプ別の漢方処方で根本から整える方法

こんにちは、Drip & Dose Journalへようこそ!「風邪をひくといつも長引く…」「熱が出やすいけれど、対処方法がわからない」「乾燥するとすぐ喉が痛くなる」風邪の症状は人によって異なり、体質や季節によって現れ方が変わります。東洋医学では、風邪を「風寒」「風熱」「乾邪」の3つに分類し、それぞれに適した漢方処方や養生法を提案しています。今回は、風邪の基本からタイプ別の改善法、漢方の処方まで詳しく解説します。


風邪の症状と生活背景

風邪は、季節の変化や生活習慣によって発症しやすくなる疾患です。特に免疫力が低下すると感染しやすく、症状の長引きや重症化のリスクが高まります。

風邪の主な症状

発熱(微熱~高熱) → 約60%以上の風邪患者が経験

喉の痛み・違和感 → 風邪の初期症状として約70%の人に発生

鼻水・鼻づまり → 約65%が症状を自覚

咳・痰 → 乾いた咳、または痰を伴う咳が約50%に見られる

全身の倦怠感 → 約45%の風邪患者が「だるさ」を感じる

頭痛 → 約30%の風邪患者に発生

特に、風邪の初期症状として喉の痛みが多く、悪化すると咳や発熱へと進行しやすくなります。また、高齢者や免疫力が低下している人は重症化しやすい傾向があり、適切な対策が必要です。

風邪になりやすい生活背景

風邪を発症するリスクが高い環境は、生活習慣によって決まることが多いです。特に以下のような背景が風邪を引きやすくする原因になります。

1. 免疫力の低下

免疫力が低下すると、ウイルスの侵入を防ぐ力が弱まり、風邪を引きやすくなります。

睡眠時間が6時間未満の人は風邪をひく確率が約4倍(免疫力低下の影響)

栄養不足(ビタミン・ミネラルの不足)で風邪リスクが約50%上昇

過度なストレスがある人は風邪をひきやすい傾向(約30%増加)

睡眠不足や栄養の偏りがあると、体の回復力が弱まり、風邪の発症率が高まります。

2. 季節の影響

風邪は、季節によって発症率が変わります。特に、秋冬の寒い時期に増加し、以下の傾向がみられます。

日本の風邪の発症率は10月~2月がピーク(約70%がこの期間に発症)

乾燥した環境では風邪の感染率が約40%上昇(粘膜の防御機能が低下)

気温が10℃以下になると発症率が約50%増加

特に寒暖差が大きい時期は体温調節が難しく、免疫力が低下しやすくなります。

3. 人混みの多い環境

ウイルスは飛沫感染しやすいため、人が多い場所では感染リスクが高まります。

電車やバス通勤をしている人の風邪リスクは約30%増加

オフィス勤務(換気が少ない環境)は風邪の発症率が約45%上昇

子どもがいる家庭では風邪の感染率が約60%高まる(家庭内感染)

換気不足や密集環境にいると、ウイルスが広がりやすくなり、感染のリスクが高まります。

風邪の予防と生活習慣の見直し

風邪を防ぐためには、生活習慣を改善し、免疫力を高めることが大切です。

十分な睡眠(7時間以上が理想)を確保

栄養バランスの良い食事(ビタミンC・亜鉛を意識する)

適度な運動で血流を促進し、免疫力を向上させる

湿度を50%以上に保ち、粘膜の防御機能を強化する

手洗い・うがいを徹底し、感染を予防する

また、風邪のタイプ別に適した漢方処方を活用することで、より効果的な対策が可能になります。


風寒による風邪—寒さが原因でこじれやすい

特徴

寒気が強く、ゾクゾクする
くしゃみや鼻水が多い
陽虚の人は特にこじれやすい

症状の特徴

寒さによって体が冷え、免疫力が低下することで風邪を引きます。特に秋・冬の寒い時期に症状が出やすく、体を温めることが重要になります。

漢方処方

葛根湯(かっこんとう) → 初期の風邪に効果的で、セルフケアとしても使える
※陽虚の人が風寒邪にあたると、体がどんどん冷えて葛根湯では温める力が足りないことがあります。その場合には、麻黄附子細辛湯を用います。附子が体の奥からしっかり温める働きをします。

+α:インフルエンザには麻黄湯

インフルエンザの初期に、体が冷えて悪寒が強い場合は麻黄湯(まおうとう)が有効とされています。
配合されている麻黄と桂皮が、体表面からしっかりと体を温め、適度な発汗により体表の邪気を取り除きます。※発汗過多やふらつきなどに注意!


風熱による風邪—熱を伴う炎症が原因

特徴

発熱があり、喉が赤く腫れる
夏場に多く見られる
咳や痰が黄色っぽくなることが多い

症状の特徴

炎症が強く、体の熱がこもりやすい風邪です。扁桃腺の腫れて熱を持ったり、皮膚に湿疹ができて見るからに赤くへつを持っているなど、いろいろな場所で炎症を起こしやすくなります。夏に流行する子どもの手足口病もこのタイプです。熱感があるときは温めるのではなく、冷ますことが必要になります。

漢方処方

銀翹散(ぎんぎょうさん) → 喉の炎症を抑え、熱を冷まして解表する

+α:風寒と風熱の中間の風邪には香蘇散

寒さと熱の症状が混ざっている場合は、香蘇散(こうそさん)を使い、バランスを整えます。
香蘇散は風邪だけでなく、神経症の人が気持ちを落ち着かせる安定剤としても使用されます。


乾邪による風邪—乾燥が引き金になる

特徴

喉の痛みや乾燥感が強い
咳が長引きやすい
陰虚の人はこじれやすい

症状の特徴

乾燥した環境にいることで粘膜が弱まり、風邪を引きやすくなります。特に、陰虚の人はこじれやすいため、注意が必要です。咳が出るけど痰が出ない、咳が長引く、息苦しい、のどの渇きが現れます。

漢方処方

麦門冬湯(ばくもんどうとう) → 乾燥を防ぎながら症状を緩和


養生・セルフケアのポイント

1. 過ごし方

寒いときは体を温める(特に風寒タイプ)
水分をしっかり補給し、粘膜の保護を意識する(乾邪タイプ)
無理に汗をかかず、発熱時は適切な休息を取る

2. 食べ物

温める食材(生姜、ネギ、シナモン)は風寒タイプ向け
冷ます食材(ミント、はちみつ、緑茶)は風熱タイプ向け
潤す食材(ナツメ、白きくらげ、れんこん)は乾邪タイプ向け


次回テーマ:頭痛の原因と漢方処方

次回のDrip & Dose Journalでは、「頭痛—東洋医学が示すタイプ別の対策」 をテーマにお届けします。

「ズキズキ痛む」「締め付けられるような痛み」—頭痛の種類と原因
タイプ別の漢方処方(片頭痛・緊張型頭痛・気滞による頭痛)
セルフケアと養生法—頭痛を防ぐ生活習慣

あなたの頭痛はどのタイプ?根本からの改善方法を東洋医学の視点で解説します!次回もお楽しみに。


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